遠近両用メガネ研究会

 老眼とは 


老眼

加齢とともに、調節機能(ピントあわせの機能)が低下して、近くの物が見

難くなってくる眼の状態をいいます。

水晶体の弾力性が低下して来る事と、水晶体を厚くする為に

働く毛様体筋の力も弱まってくる事が原因として考えられます。


調節力

眼から、ピントを合わせ注視している対象物までの距離(m)の逆数が調節

の値になりその単位はジオプター(D)で表します。レンズの屈折において

その焦点距離と度数の関係と同じ表し方です。

今、仮に正視眼で調節力が0(D)の眼があるとします。

無限遠方にはピントが合いますが、それより近いところにはピントを合わせら

れません。

この時、眼前1mの物を明視する為には+1.00(D)のレンズを眼にくっつ

けて見れば明視できます、50cmの場合は+2.00のレンズが必要になり

ます。

水晶体は、眼前のさまざまの距離にある対象物を明視する為に必要な

屈折力を、その厚みを変化させることにより作り出しているのです。

水晶体が最も薄い時に、眼は調節していない状態で、この時に眼前の無限

遠方にピントが合っている眼が正視眼、眼前の有限の距離にピントが合っ

ている眼は近視眼、眼前の無限遠方にピントを合わせる為に屈折を強くす

必要のある眼が遠視眼ということになります。

調節力を最大限に発揮している時に、水晶体は最も厚い状態になり、眼の屈

折力は最高となります。

その時に、眼から、ピントが合っている最も近い対象物までの距離(m)を

調節近点といい、正視の場合には、その逆数が調節力ということなります。


調節力の低下

調節力は加齢とともに低下してきます。

一般に小学生の頃には調節力が10(D)以上位あり正視眼では無限遠か

ら10cm弱まで明視できます。

以降、低下の一途をたどり40歳ころには4(D)位、50歳頃には2.5(D)位、

60歳頃には1.5(D)位へと低下してきます。

調節力が4(D)位になってきますと近見作業で眼に疲れを感じてきたり、小

さい字が見にくくなる等の症状が生じてきます。


遠視眼、近視眼の老眼

遠視眼は、元々の屈折力が弱い眼の場合や、屈折力は正視眼とかわら

なくて眼軸が短い眼の場合などがあり、裸眼では調節にかかる負荷

が大きくなる為に眼精疲労になりやすい眼です。

凸レンズで矯正しますので老眼度数もその分つよい度数になります。

近視眼は、元々の屈折力が強すぎる眼である場合や、眼軸が長すぎる

眼の場合などであり、裸眼で明視できる最も遠い所が眼前の有限に

あり、その距離の逆数が近視矯正度数の目安になります。

近視眼は老眼にならないとか、なり難いとか思われている方がおられ

ますが、近視矯正の眼鏡を掛けたままでは近くのものが見難くなってき

ておれば症状がでてきている事になります。

矯正度数がー4(D)〜−2(D)位の近視の場合には、調節力が低下し

ていても、裸眼で近方が明視できますので、眼鏡を必要としない場合も

あります。

近視矯正度数がー4(D)で調節力が2(D)の眼の場合には、裸眼で

の明視域は眼前約17cmから25cmとなります。

近視矯正度数が−3(D)で調節力が2(D)の眼の場合には、裸眼で

の明視域は眼前20cmから33cmまでになります。


老眼鏡の度数

老眼度数の測定では、完全矯正度数、調節力、近見作業距離が主な要素に

なりますので、これらをきちんと把握して、他にも考慮すべき点があば

それらも合わせて対応します。

例として、今、正視眼で調節力が2(D)の場合に、その近見作業距

離が40cm位として老眼度数を考えてみますと、40cmにピントを合

わせるには2.5(D)だけ屈折力を強めねばなりません。

調節力の全部を使わずに半分位を使うことで余裕が生じます、眼を

疲れさせない為に必要な事です。

残りの不足分を眼鏡で補いますが、この度数を加入度数と言います。

2.5(D)−1.0(D)=1.5(D)・・・・加入度数の候補

正視眼(遠用矯正度数=0)ですから老眼鏡の度数の候補は+1.5(D)

になります、より正確にする為に近用リーデイングチャートで測定して近用

度数を決定します。

近用度数が+1.5(D)で決定すれば、その明視域は眼前の約29cmから

約67cmまでの間という事になります。

老眼とは
■累進部の長さは
■眼とレンズの位置関係は
■フレームとレンズの関係は